2020年、冬。
見知らぬ土地で、スケッチブックを掲げていた。
名古屋、刈谷サービスエリア。下から観覧車を見上げられる、2000台の車が駐車できる日本最大級のサービスエリア。インターチェンジ前、ガソリンスタンド入口。
誰も知らない場所で、止まってくれるかどうかもわからず、不安と高揚感を感じながら、「東京方面」と書かれたスケッチブックを掲げた。
大学生になったら、ヒッチハイクするもん。そう思っていた。
大学生になったら、一度はヒッチハイクをするものだと思ってた。
知らない土地へ行き、知らない人と話す。見知らぬ人の車に乗せてもらい、日本中を旅をする。
映画やTVで見た世界に、単純に、憧れていた。
ただ、思っていることと、実際にやってみることの間には、想像以上に距離があった。
一度、家の近くのICまで、スケッチブックを持って歩いていったことがある。
車の通りは多かったが、停まれるような場所ではなかった。それに気づいた時点で、もう半分は諦めていたと思う。結局、スケッチブックを掲げることすらできないまま、そのまま帰った。
自分は、想像以上に人の目を気にするんだと思ったし、失敗するのが怖いんだなと、改めて思った。
22歳の誕生日。決意。
22歳の誕生日に、絶対にヒッチハイクをする。そう決めた。
誕生日というちょうどいい区切り。少し前に、当時好きだった女の子にフラれたこと。学食で、後ろに座っていた知らない人がヒッチハイクをしたと話していて、それを聞いて悔しかったこと。理由を挙げればいくつもあったけど、結局のところは、やらなきゃ、やらない。それだけだった。
そう思って、夜行バスで名古屋に向かった。それ以上のことは、何も決めていなかった。
誰よりも、自分の勇気を信じてなかったから、やるしかない状況を、自分で、作り出した。
やってみたら、意外と簡単だった。
印象的だったのは、静岡から東京まで乗せてくれた、沼津港で居酒屋をやってる恰幅のいいおじさん。
若い頃、インドをバックパックで旅していたという。車の中で、彼はこう言った。
「若いうちは、何でもやってみたらいいよ」
自分が、最大級の勇気を出したヒッチハイク。でも世の中には、もっと凄いことを平気でやれる人がいる。
それができるのは、単純に一歩目を踏み出せるかどうか。たったそれだけの違いだったことに気づいた。
おじさんに貰った居酒屋のライター
いつか沼津にきたらお店来てよ。そう言って渡してくれた居酒屋のライター。
あろうことか、その人に言われた通り、色んな挑戦をして、色んな場所に引っ越しした結果、どこかに言ってしまった笑
おじさん、ごめんなさい笑
薬学部から新卒で、ITベンチャーへの就職。創業したばかりのスタートアップへの転職。独立・起業。
どれも、やったことのないことだった。でも、やったことないから辞めようとは思わなかった。
できるかどうか分からない、でも、やってみる。
新しいことに挑戦する時、何か不安を感じた時、あの時、不安を感じながらもスケッチブックを掲げた瞬間のことを、いつも思い出します。