京都で開催された「IVS 2026」で見えた、2つの原則
2026年7月、京都で開催された「IVS 2026」に参加してきました。IVSは、国内外から起業家、投資家、スタートアップ、大企業、学生などが集まる、日本最大規模のスタートアップカンファレンスです。会場では、AI、Web3、オンチェーン、新規事業、組織づくりなど、さまざまなテーマのセッションが行われていました。
普段の仕事だけでは触れられない技術や事業の話を、一度に聞ける。会場を歩いているだけでも、社会やビジネスがどこへ向かっているのか、その熱量を感じられる場所でした。
ただ、AIやオンチェーンなど、最新技術に関する多くの話を聞いたなかで、僕が特に印象に残ったのは、技術そのものではありませんでした。ひとつは、成果を出しているトップから直接学ぶこと。もうひとつは、人とのつながりを、自分の手で作り、育てることです。
成果を出したいなら、トップに直接話を聞きに行く
数多くのセッションのなかで、特に印象に残ったのが、ビズリーチ創業者の南壮一郎さんの話でした。南さんは2024年4月に八ヶ岳農業大学校の理事長に就任し、経営体制の刷新や、学校を持続可能な形にするための事業開発に取り組んでいます。農業や学校経営は、南さん自身にとって未経験の領域でした。
そこで南さんが取った方法が、印象に残っています。日本中のフラワーパークや類似施設を調べ、経営がうまくいっている施設や、再建に成功した施設を洗い出す。さらに、それぞれを誰が手掛けたのかを追っていくと、複数の成功事例が同じ人物に行き着いたそうです。
その人物が、「あしかがフラワーパーク」や「はままつフラワーパーク」で実績を持つ塚本こなみさんでした。南さんは塚本さんに直接会いに行き、何がうまくいったのかだけでなく、何がうまくいかなかったのかまで聞いた。そして現在、八ヶ岳ガーデンプロジェクトのプロデューサーとして迎えています。
ビズリーチ創業者・南壮一郎さんのセッション
この話の価値は、単に「成功者に会おう」という精神論ではありません。成功している事例を徹底的に調べる。その結果を生み出した人物を特定する。その人に直接会い、成功と失敗の両方を聞く。そして、自分たちでも実行する。非常に解像度の高い、問題解決の方法だと感じました。
今は、検索すれば多くの情報が出てきます。AIに聞けば、成功事例や一般的な施策も、すぐに整理できます。それでも、実際にその事業を成功させた人が、何を見て、何を判断し、どこで失敗したのか。その背景にある経験や思考までは、公開情報だけでは分かりません。
南さんの話を聞き、それが成果を出すための、最も速く確度の高い学び方の一つなのだと感じました。
AI時代ほど、人とのつながりに価値が残る
IVSの特徴は、メイン会場の登壇セッションだけではありません。開催期間中、京都市内ではさまざまなテーマのサイドイベントが開かれます。今回、僕自身も、そのサイドイベントを主催する側として関わりました。
主催したのは「Z世代交流会」というU29限定の交流会です。共同主催したのは、YOUTRUSTで知り合った同世代の経営者3人。もともと毎月開催している交流会を、今回は京都で開くことにしました。
Z世代交流会の様子
当日は30名ほどが参加してくれました。職種や肩書もさまざまで、大学生、社会人、フリーランス、会社の代表、そして高校生まで。IVSという場の魅力に惹かれて、若手が自然と集まる会になりました。京都のど真ん中で開いたこの会は、想像以上に盛り上がり、その場で初めて話した人同士が、そのまま一緒に飲みに行くような場面もありました。
IVS公式も、ネットワーキングを単なる名刺交換の場ではなく、その後の商談や採用につながる場として設計しています。公式サイトでは、ネットワーキングエリアの再設計にあたり、次の2つのコンセプトを掲げています。
「すべての参加者に『実利のある出会い』を届ける」
「偶然と必然の出会いの最大化」
会いたい人に会える「必然」の動線と、思いがけない出会いが起こる「偶然」の余白。今回の交流会は、まさにその「偶然」の側を、自分たちの手で作ることができた場だったと思います。
サイドイベントの様子
誰から学び、誰とつながるか
南さんの話と、今回のサイドイベントは、別々の話ではありません。トップから学ぶためにも、機会を作るためにも、最後に必要になるのは人とのつながりである。この一点でつながっています。AIによって情報そのものの価値が下がっていくほど、誰から学び、誰とつながっているかの価値は、むしろ高まっていくと感じています。
僕自身、これまで500人以上のキャリア対話や2000人規模のコミュニティ運営を通じて、人と人が出会うきっかけを作ってきました。今回の京都での交流会も、その延長線上にあります。
トップに直接話を聞きに行くこと。人と人が出会う場を、自分の手で作ること。今回IVSで感じたこの2つは、特別な場所でしか起きないことではなく、日々の対話やコミュニティ運営のなかで、自分がすでにやってきたことでもありました。
情報は、これからさらに簡単に手に入るようになります。だからこそ、誰から学ぶのか。誰と関係を築くのか。
IVS 2026への参加を通じて、その重要性を改めて感じました。